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Japanese tea ceremony in Tokyo

「茶道」と聞くと、「難しそう」「作法が厳しそう」と感じるかもしれません。しかし、茶道は決して特別な人だけのものではありません。お抹茶を点て、いただくというシンプルな行為の中に、日本の美しい精神性や「おもてなしの心」が息づいています。

この記事では、茶道の基本的な立ち居振る舞いを、初心者の方にも分かりやすくご紹介します。

大切なのは「完璧」よりも「敬意」

茶道の世界に足を踏み入れるとき、不安を抱くのは自然なことです。しかし、茶道において最も大切なのは、すべての作法を完璧にこなすことではありません。

お茶を点てる亭主、そしてともに席を囲むお客様への「敬意」を抱くことです。最初から完璧を目指すのではなく、まずは一歩踏み出して「やってみる」こと、そしてそのプロセスを「楽しむ」気持ちが何よりも重要です。

作法は、単なる形式的なルールではなく、その行為に込められた「意味」を知ることで、ぐっと理解しやすくなります。たとえば、畳の縁を踏まないという作法は、茶室という清らかな空間、そして亭主への敬意の表れです。作法の背景にある理由を知ることで、茶道がもっと身近に感じられるでしょう。

これで安心!基本の立ち居振る舞い

畳の上の基本マナー

茶道では、畳の縁(へり)を踏まないのが基本的なマナーです。これには、かつて縁に施された家紋への敬意や、つまずきを防ぐ安全上の配慮といった理由があります。亭主が心を込めて整えた空間に入る際、縁を踏まないという行為は、その空間全体と亭主に対する敬意を表す振る舞いとなります。

美しい座り方と歩き方

茶道における基本の座り方は正座です。茶室での歩き方は、静かで美しい「すり足」が基本です。足裏を畳に擦るように歩くことで、衣擦れの音と共に、茶室の外にいる亭主への「まだ席入りの途中である」という合図にもなります。必要以上に音を立てないように注意しましょう。

お辞儀の基本

お辞儀は、相手への敬意や感謝を伝える最も基本的な所作です。正座からのお辞儀は、流派や場面によって深さや手のつき方が異なりますが、根底には常に「相手への敬意と感謝」があります。

襖(ふすま)の開け閉め

茶室の襖の開け閉めも、茶道の大切な作法の一つです。静かに、そして美しく行うことで、お茶席の雰囲気を壊さず、次の動作へとスムーズに繋げます。

流派によって動作に違いがあるため、もし茶道に詳しい先客がいれば、動作を真似させてもらうのも学びの近道です。

お茶席の必須アイテム「懐紙」の賢い使い方

懐紙(かいし)は「懐に入れて携帯する紙」という意味で、茶席では非常に多機能で重要な道具です。

お菓子をのせる受け皿として、口元を拭く紙として、また、お茶碗の縁を清める時など、お茶席のさまざまな場面で活躍してくれます。懐紙の丸く折られている側を自分のほうに向けて置くのが基本です。また、使い終わった懐紙は持ち帰るのがマナーです。

お茶のいただき方と拝見:心を込めた作法

お茶は、亭主が心を込めて点ててくださったものです。感謝の気持ちを伝えるための作法があります。

一服を味わう作法

  1. 受け取り: 亭主へ「お点前ちょうだいします」とお辞儀をし、茶碗を両手で丁寧に持ち上げます。
  2. 回して飲む: 茶碗の正面を避けるため、茶碗を回して飲み口をずらしてからいただきます。
  3. 飲み口を清める: 飲み終わったら、飲み口を指で清め、その指先を懐紙で拭います。これは、次に茶碗を使う人への配慮です。

この一連の動作には、亭主への感謝や、道具への敬意が込められています。

茶碗の拝見:道具に宿る物語に触れる

お茶を飲み終えたら、亭主が選んだ茶碗をじっくりと拝見する時間があります。

拝見する際は、まず茶碗を畳の縁の外側に置き、両手をついて全体を眺めます。茶碗を落とさないよう手のひらで受け止めるように持ち、茶碗の形や重さ、釉薬の様子などを静かに感じます。指先でベタベタと触らず、なるべく低い位置で行うのが作法です。

拝見を終えたら、再び両手をついて全体を眺めます。最後に、茶碗を手前から向こうへ回して元の位置に戻します。この動作は、道具に込められた作り手の技術や、亭主の選んだ道具への敬意を示す行為です。

さいごに:茶席を楽しむためのアドバイス

形式に囚われすぎず、目の前の「一服」に集中し、その時間を丁寧に味わうことが茶の湯の醍醐味です。

「一期一会」の精神を胸に、目の前の出会いを大切にし、誠意をもって臨むことで、茶の湯は日常をより豊かで意味深いものに変えてくれるでしょう。難しく考えずに、まずは一歩踏み出し、茶の湯の美しい世界に触れてみてください。